◆お芝居情報◆

【放送日】2001/03/29   【お芝居】井戸からぼた餅
配役出演者名
井戸職人 金太 桜 金造
大家 和吉 えなりかずき
植木職人 三次 魁 三太郎
三次の女房 お重 重田千穂子
吟兵衛の女房 お陽 浅芽陽子
茶屋勤めの娘 お冬 坂本冬美
地主 吟兵衛 前田 吟
お江戸でござる オリジナルソング
曲名凛として
作詞たかたかし
作曲徳久広司
坂本冬美
お江戸でござるCD
発売中です!



●杉浦日向子のおもしろ講座●
江戸風俗研究家 杉浦日向子
補足 長尾武之介



◆本日の間違い点◆

●どぶ板などの修繕費用をけちる地主・吟兵衛
地主や家主は納税者であり、普段からみんなの尊敬を受けております。
お上に納税する以外に、町の為に町入用(まちいりよう・ちょうにゅうよう)という積立金を町に納めています。
(だいたい利益の5%くらい)
木戸が壊れたり、道がでこぼこになったり、雨漏りがしたり、どぶ板が壊れそうになっていたりしたら、すみやかにその町入用によって直します

こういったことをふまえて、地主さんや家主さんは、
「長屋が一夜の火事で丸焼けになってしまっても、すぐ次が建てられるくらい」
の蓄えがなくてはなれませんでした。

そして、こつこつ貯めたへそくりでお目当ての女性を囲いたい・・・
だけどへそくりが見つかってはまずいので井戸の中に隠したということでした。
ですがこのような場合は、その女性を雇っている雇い主の方にお金を預けておけば良いのです。
「いついつになったら迎えに行くので、これを預かっていて下さい」
と言っておけば大丈夫な訳です。
もし今回の様に、雇い主の方に預けていない状態だと先を越されてしまう可能性があります。
井戸の中よりも
「雇い主に預けた方がよっぽど安心でした」
ということですね。


●井戸の中に落とした物が不自然(三次:鋏(はさみ))(お重:めおと茶碗)
井戸の水というのは・・・「飲料水」です!!!
その飲料水で鋏を洗うというのは・・・非常識きわまりないですね。
井戸でそのような汚れた物を洗ってはいけません

当時は、食べ終わった後の茶碗を白湯で綺麗にし、最後はたくあんで綺麗にご飯粒を取って箱膳にしまいました。
ですので、井戸まで行って洗うということはちょっと不自然ですね。

さらに「めおと茶碗」という言葉は、明治以降に使われた言葉です。(^^;
当時は子供の茶碗も大人の茶碗も男も女も大きさには変わりありません。
湯飲みも飯椀も変わりはありません。
(長屋住まいの人の飯椀は木製の方が多かった)

井戸に落っことしても不自然でなかったのは・・・
のぞいた拍子に落としてしまったというお冬さんの簪だけですね。

長屋の井戸は共同管理され、年に一度七夕の日に井戸さらいが行われた。


●やっぱり変だった!!大家・和吉
「大家と言えば親も同然、店子と言えば子も同然」
ということで、店子達の冠婚葬祭にも関わるわけなのです。
つまり仲人などもしなくてはならないわけですので・・・
原則的には妻がいなくてはいけません
(独り身の大家さんが居ないという訳ではありません。)

大家さんは、羽織が制服なのです。
冠婚葬祭の場や寄り合いなどに、大家さんは出なくてはいけません
それゆえ、羽織を持っていない大家というのはおかしいのです。
(現代におけるサラリーマンがネクタイ・背広を持っていないというぐらい変な訳です)

大家さんになった時点で、羽織が支給されているはずなのです。
とすると・・・今回は
「地主さんがくれなかった!!」
ということに。(^^;
たぶん、身請けの事で頭がいっぱいだったんでしょうね~、吟兵衛さんは。

今で言うと大家さんは、地主という意味でとらわれがちですね。
でも今回はちゃんと「地主に雇われた大家」という設定でした。
現代で言うと管理人さんに近いですが、店子の公私に渡る面倒を見たという事で人望が求められる職業だったわけです。


●大江戸江ノ島詣で事情●

■芸事の上達を願う江ノ島詣で■
お芝居の中で何度も出てきた「江ノ島詣で」ですが、江戸に大変賑わいました。

江ノ島は、弁天様をまつった日本三大弁天の一つです。
安芸の厳島、近江の竹生島、そして江ノ島の弁財天が日本の三大弁財天です。

広重画 「相州江之島弁才天開帳参詣群衆之図」
浮世絵に見る江戸の旅』より
(佐藤要人監修、藤原千恵子編集、
河出書房新社、p52-53、2000/06/23)

江之島の弁才天は引き潮になると、絵の様に参道が現れます。
こうなると歩いて江之島へ渡ることができるのです。
(満ち潮の時は船で渡って参詣します。)
なお、江之島は
「絵の様に美しい島」
という意味で絵島(えじま)とも呼ばれておりました。

絵を見ても分かるとおり、大変賑わっております。
よく見てみると・・・女性の団体ばかりなのに気づかれるかと思います。
更によく見ると、みんなお揃いの笠をかぶっております。
●富本節(とみもとぶし)
(上図右側)
桜草の笠の団体

●江戸長唄(えどながうた)
(上図真ん中)
三本杵(さんぼんきね)の笠の団体

●清元(きよもと)
(上図真ん中左)
三つ柏の笠の団体

●常磐津(ときわず)
(上図左端)
角木瓜(かくもっこう)の笠の団体


この江ノ島詣では、だいたい三泊四日くらいの旅になります。


この四派は、たいへん人気のあった芸事です。
弁天様が琵琶をかかえておりますので、芸事の上達を願うために押し寄せたのでした。
この絵だと女性しかおりませんが、この参詣が一通り終わると、次には男性だけの団体が来るようになります。
というのは・・・
弁天様に夫婦で出かけると夫婦別れをする
という言い伝えがあるからです。

また、弁天様の本体は龍神ということなので、水に縁が深いということになります。
それゆえ、将軍様や奥女中の方が
「火災よけ」
の為に参詣に出向きました。

また、弁天様のお使い姫・白蛇は、
「お金・蓄財に大変御利益がある」
ということで大商人もたくさんここに参詣しまして、奉納品などをしておりました。

■様々な弁天信仰■
ここの弁天様に詣でた杉山検校という人が、弁天様から針の診療の極意を授かったという逸話があります。
れ以来、目の不自由な方の参詣も絶えませんでした。
杉山検校(すぎやまけんぎょう)(1610~1649)
針灸按摩の祖といわれ、将軍綱吉の侍医となり、弁天信仰の流布に務めた。

■按摩の世界って?■
私は、盲人というとすぐに「按摩(あんま)が浮かびます。
そして、境遇に恵まれていない人々を連想してしまいます。
ですが、意外にも金貸しを副業にして裕福な人々が多かったそうです。

あんま賃は上下揉んでも四十八文、時間をかけても百文程度しかもらえせん。
「この稼ぎで高利貸しなんてできるの?」
と疑問に思いませんか?
これにはちゃんとした訳&仕組みがあったのです。(゚Д゚)b


●特権●
まず盲人は当道座(とうどうざ)という組織に統括されています。
この当道座には特権が与えられてるのです。
(一).当道座の自治を公認し、罪人は座法によって処断することを許す
(二).検校以下の官位を公認し、官位を売って得た金円や運上金を、座中の者に配当することを許す
(三).官金による金貸し業を認める。債権は優先的に保護する。
(四).全国の盲人と当道座に加入させ、統括。
(五).盲人はいっさいの租税を免除
この特権は、盲人達の生活向上のために認めた特権なのでしょう。
ではその中身をちょっと詳しく見てみます。

この官位の取得というのが、盲人の唯一の出世です。
最高位の検校ともなれば収入も多し、非常な権威を持つことができます。

検校(けんぎょう)
(一番偉い)

別当(べっとう)

勾当(こうとう)

座頭(ざとう)

官位は、平の座頭~最高の総検校まで七十三段階
(それぞれの官位取得には金が必要
-例************-----------
一番最初の「半打掛」・・・4両
~(省略)~
六十七刻(官位の高さ)の権検校を終えるまで、総額790両
~(省略)~
最高の検校・・・1000両
************************--
とにかく金があれば官位が買えるので、皆貯蓄に励むことになります。

運上金というのは、
「慶弔のあるごとに盲人に与える金」
のことです。
婚姻だ、葬式だということを聞くと、各検校家が座頭をその屋敷へと行かせます。
そうすると、金がもらえることになっているのです。
金額は少額もありますが、旗本・大名などは石高に応じてもらってくるので大きいです。
(もちろん将軍家からも)
これらの金が全国から集められて、その三分の一ほどが盲人達に配当されます。
この配当金は、官位が上のものほど大きいので、皆競って官位を買うことになります。
ですが、高額な官位を買うのは大変です。
ゆえに、(三)の金貸し業と債権優先的保証が認められているのです。

つまり・・・
盲人が金を貸す資金は、彼らが官位を買うための準備金なのです。
これが確実に利殖されないと、幕府が官位を公認して彼らの生活向上をはかろうとした意図も崩れてしまうことになってしまいます。

職屋敷および総録屋敷は、そうした利殖の資金を座中の盲人達に貸し出しました。
ゆえに、自己資金を持たないようなぴーぴーの按摩でさえ、金貸しをすることができたのです。


●当道座加入盲人の名前●
当道座加入の盲人は、座頭の位を取ると初めて
「春一」
「猿一」
などの「一」字を名乗ることができます
「市」と名乗る按摩などがいますが、彼らは
『「一」のつく名前を名乗れない按摩が、世間への見栄から勝手に同音の「市」の字を名乗ったものだ』
ということだそうです。
「座頭」というのも有官なのです。


本来なら、もっとちゃんとした解説等を載せたかったのですが・・・
今回はあくまで簡単に説明させていただきました。
今回調べてみて、今まで按摩に対して持っていたイメージがちょっと変わってしまいましたね。(^^;
杉山検校も、このような金貸し業を重ねて検校に上り詰めたのかもしれません。

この掲載を読んで、盲人の世界に興味をいただけたら幸いです。

(参考文献)
『時代風俗考証事典』(林美一著,河出書房新社)

また海の幸が豊富なので、江之島の料理茶屋は絶品の料理が食べられたそうです。
参詣という目的もあったけど、観光でという意味合いもあったのかもしれませんね。



■胎内巡りと弁天小僧■
現在手元に資料がありません。
手に入り次第、掲載いたします。
広重画「相州江の嶋弁才天開帳詣本宮岩屋の図」

江ノ島には岩屋がありまして、胎内巡りというのができました。
かつては、この胎内の中に弁天様が安置されていました
(今は、ちゃんとしたガラスケースの中に納められています。)
絵の中では、子供達が海水浴をしていたり、女性達が一休みしていたりしています。
大変平坦な土地ですので、足腰が弱くても楽しめました。
遠くには富士山も見えますので、最高の景観地でありました。


歌舞伎で有名な弁天小僧はここに由来しております。
「さてその次は江之島の、岩本院の稚児上がり、弁天小僧菊之介たぁ俺の事だぁ!」
(歌舞伎の方では有名な台詞があるらしいのですが・・・)
岩本院という所でお稚児さん・・・つまり可愛い美少年が給仕にあたっていました。
それで女装して、弁天小僧菊之介と。
岩本院は実在の所なので、ああいった悪党がいるって設定されたことは迷惑だったかもしれませんね。
けれども、かなり美化されてかいてありましたから、逆に女性のファンが詰めかけたということです。

食べ物もおいしいし、眺めも良いし、楽しい所もあるし・・・
そしてもちろん信仰もあるという、江ノ島は大変な人気のスポットでありました。



●出演者への質問●

【質問:】へそくりをしたとかって出てきましたが、そういうことはどうですか?

●坂本さん●
子供の頃はしたかもしれませんが・・・
めんどくさがりなので、いちいち銀行に無くなったからおろしに行くってことしないで、まとめて・・・例えば取ってきましてね?
で、少し小分けしといて、その小分けしたのをどこに置いたか忘れちゃったことがあるんですよ~。
【ALL】(笑)(^o^)
後でひょっこり見つかった時はすっごい・・・自分のお金なのに得した気分がします。(^^
●重田さん●
あんまりこつこつ貯めるタイプじゃないんですけど・・・
あの~、埋めてなかった?昔?
【ALL】え~~!!お金を?(゚o゚)
お金とかじゃなくって、大事な物とか。
・・・お姉ちゃんの気に入ってたハンカチを盗んで穴に埋めて・・・(^^;
で、無くなった無くなったって大騒ぎしたときは、知らない知らない知らないって言って。(笑)
●前田さん●
いや~、良くね~やったんですよ。
あのね~、僕たち衣装を変えるじゃないですか、私服と。
私服の内ポケットとかに隠しておいて、そのまんま衣装の中に隠して、仕事が終わってそれを忘れて帰っちゃって・・・衣装さんから電話があってとかってそういうことがありましたね。
ある時は、車のイスの下に隠しておいたんですよ。
だけど、それ・・・飴の袋の中に隠したんですよ。
で、ある時女房と一緒に乗って・・・蟻がすごいんですよ。
開けられてさ~、見つかったりとか。
●えなり君●
【金】えなり君はへそくりというより貯金になりますか?
そうですね~、あの・・・これは正直な話、お金貯めるの好きなんですよ。(^^;
【ALL】(爆笑)(^o^)/アハハ
父のお下がりの金庫をもらってですね、そこに貯めてるんですよ。
小学二年生の時からなのですが。
【ALL】すご~い・・・(゚o゚)
●杉浦先生●
お小遣いをちょびちょび貯めて、一番最初に自分で物を買ったのはやっぱり小学校二年生の時で・・・。
(うずら)を買ってきたんですよ、鳥の。
あの、生きてるやつです。
ペットとして可愛くて・・・ただ、一羽じゃ可哀想だって両親に言われて、次の日返しに行きました。(^^;
●浅茅さん●
へそくりってことじゃないのですけど・・・
ある時一念発起しまして、500円玉貯金をしようと。
2年近くがんばったかな。
でね。このくらいの招き猫(顔よりも大きいくらい)がいっぱいになった。
ぎっしり。
で、ばっとだして、うふふふって。(^^
よくがんばったなぁ~って。

それで!ある時、5月の連休を利用してみんなで泊まりがけで遊びに行こうって話になったんです。
で、その経費をおろしに銀行へ行ったら、5月の連休時ですから銀行がどこもしまってる!
もぅまいったなぁ~って・・で、ふっとその招き猫の500円玉貯金を思い当たって・・・
もぉ仕方なくってそれ持ってくかって・・・泣く泣くその500円をこぉぉ~んなに。
持ってった軽井沢へ。(^^;
それでね?バック買ったの~。(^^;
500円玉で~。(^^
●魁さん●
おじちゃん今日はパスしたいなぁ~。(^^;
【金】あなたへそくりしてるの?
いやいやいやぁ~、今してるとかそういう事はぁ~・・・言わないけどね。(^^
今日だけはパスしたい。(^^;
●金造さん●
高校の時にね、初めて新聞配達をして、初めていただいたお金でね、カツ丼食った時は旨かったね~。
【ALL】ああぁ~~。(~o~)
カツ丼食べるたびに思い出しますね。
後ね?へそのゴマをとっていたんですよ。
そしたらなんか・・・おなか痛くなっちゃったなぁ~って・・・これは「へそぐり」ですかね?
ぐりぐりぐりぐり。
【ALL】あぁ~~。(^^;
・・・・・・また来週~~!!(^o^)/
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