
豊国画「歌舞伎舞台図」
『
図説 浮世絵に見る江戸の一日』より
(佐藤要人・高橋雅夫監修、藤原千恵子編、河出書房新社、p62-p63、1996/6/25初版)
桟敷席(さじきせき)(今で言うアリーナ)になりますと、
25匁~35匁(一両の約半分)になります。
(年代によって変わりますが1両=銀60匁=銭6貫文です。)
これは
席代だけです。
その他にお茶屋さんに払う分や飲み食いしたり、いろいろなものを合わせると・・・
『一人一両以上』
簡単にかかってしまいます。
一両というと・・・
一家四人が一ヶ月暮らせてしまいます。
だいたい大工さんの一週間分以上の手間賃ですね。
振り売りなどの零細職人さんの・・・
約20日分の収入!!(゚o゚)
大変な海外旅行のように憧れの席でした。
見ている人も大変気合いが入っているんでしょうね~。
気合いが入りすぎて、次の日には寝込んでしまった人もいるそうです。(^^;
舞台の役者を見るのではなく、舞台の役者に見られたいくらいの気持ちで装っていくそうです。
またそういった桟敷席の中にもランク付けがあるみたいですね…
上の絵の中においては、
《下桟敷》
左右両側の一階桟敷席が、
下桟敷。
一見すると大店の若旦那の様ですね。
キセルを手に、のんびりと芝居見物といったところでしょう。
……ということは、芝居小屋の中って煙草OKということなんでしょうね。
左にいるのは、
幇間(太鼓持ち)かな?
私もこういう身分になりたいなぁ。(^^;
《上桟敷》
左右両側の二階桟敷席が、
上桟敷。
綺麗所が並んでおります。(^^;
手前にあるのは、
幕ノ内弁当みたいですね。
お昼時になると、幕ノ内弁当とともに、酒・肴が出てくるそうです。
その後、午後にお寿司と水菓子(果物)が出ます。
《羅漢台》
舞台下の奥にある一階が、
羅漢台。
なにやら喧嘩が起きているみたいですね。
芝居そっちのけで、その喧嘩を見ている者。
喧嘩をはやし立てる者。
喧嘩を止めようとしている者。
そんな中でも、無視して芝居を見続ける強者までいます。(笑)
芝居どころじゃない、修羅場になってます。(^^;
《下級桟敷》
舞台下の奥にある二階が、
下級桟敷。
階下で起きている喧嘩を眺めている者。
笑っているところを見ると、仕方ねえ奴らだなぁ~程度で済ましているのかもしれません。
しかし……本当に
こんな場所から芝居を見ることができるのでしょうか?
《高土間》
舞台を囲んで枡で仕切られた左右の土間が、
高土間。
手前と奥とでは、人口密度が違いすぎっ!
手前では、子供をあやしながら芝居を見ている人達がおります。
しかし奥にいくと、
すし詰め状態……その上、喧嘩のあおりを食っています。(笑)
喜んであおっている奴もおりますが、その奥には困り顔の多数の人たちが。(^^;
《平土間》
舞台を囲んで枡で仕切られた中央の土間が、
平土間。
なにやら注文をしたのでしょうか??
目の下三尺と言えそうな魚(鯛かな?)が運ばれておりますね。
こちらの席の皆さんも、悠々と食事をとりながらゆったり芝居見物。
よ~く見てみると、それぞれの場所に座っている客層に、かなりの差があることがわかります。
中には喧嘩をしている場所もあるみたいですし…芝居どころじゃありません。(^^;
羅漢台や下級桟敷の様な場所って、本当に見ることができるの?と思ってしまう場所だったりしてますね。
下桟敷や上桟敷といった場所は、
幇間(ほうかん)連れの桟敷席ですから、相当なお金持ちなのでしょう。
なかなか庶民はこのような所に行く事ができません。
ゆえに
小芝居・宮地芝居(みやちしばい)といった、
両国や寺社の境内でかけられる芝居に行きました。
こちらは、
数十文~100文くらいで観ることができました。
大芝居に対して小芝居という訳です。
時間も短く、芝居の良い所取り受ける所だけをちょっとつまみ食いといった感じのお芝居でした。
芝居は、
すべての流行の発進地です。
ファッションは元より、流行語も芝居の台詞などから生まれます。
大変な文化の発祥地です。
今でも、いろいろな映画や俳優さんから流行などが生まれていますよね?
歌舞伎芝居も、呉服屋といった様々な店とタイアップを図ります。
「団十郎煎餅」といった感じで、役者の名前を付いた商品を扱うというパテント料もとっていました。
日本における芝居。
よくバレエやオペラ等と比べられますが、歌舞伎はその名の通り
『歌・舞・伎という字そのままの歌や踊りのたくさんあるミュージカル』
に近いような出し物です。
西洋の物は王侯・貴族の為に演じられた物です。
しかし歌舞伎は、
庶民から生まれたという他の文化圏にはない特殊なものです。
日本の誇りとも言えますね。