◆お芝居情報◆

【放送日】1995/??/?? 【お芝居】紙は天下の回り物

配役出演者名
徳兵衛伊東四郎
弥助桜 金造
吉蔵小松政夫
清次郎栗田貫一
お由美野川由美子
すず香西かおり
源太中本 賢

東京放送児童劇団

若駒

東京芝居倶楽部

勝田治美
お江戸でござる オリジナルソング
曲名越前恋歌
作詞秋 浩二
作曲伊藤雪彦
香西かおり



●杉浦日向子のおもしろ講座●
江戸風俗研究家 杉浦日向子
補足 長尾武之介



◆本日の間違い点◆

●黒い紙・白い紙という分け方
お芝居の中の紙くず屋において
「黒い紙、白い紙に分けるんだよ」
ということが出ておりましたが、実際はもっと細かく分別します。
(10~20種類くらいまでに分けたそうです!)

ただ分別するだけではなく、一枚一枚、のし板(大きなまな板みたいなもの)の上にのせて、押し広げます。
今回のお芝居でもあった証文や手紙などをみつけた場合は、個別に保管しておきます。
紙屋によって保管しておく期間は違いますが、三年間も手紙を保管しておいたというエピソードがあるんだそうです。

一枚一枚紙を伸ばしていくため、紙屋さんの小僧さんは博学の小僧さんが多かったようです。
いろいろ字を読んで、学んでいたわけですね。(^o^)


●大江戸リサイクル事情●

■飛鳥山の花見■(※)
鳥居清長・飛鳥山桜狩り
鳥居清長画 「飛鳥山桜狩り」
清長 浮世絵 美人画・役者絵3』より
(樽崎宗重、講談社、p68-69、S40/11/25)

お芝居の中で話に出てきた「お花見」。
飛鳥山は、当時にぎわった花見の名所でした。

吉宗が植えさせたことにより出来た名所です。
民衆の支持の必要性を認識した吉宗が、人民の懐柔策の一つとして用いました。
(ちなみに1995年当時は、大河ドラマが「吉宗」でした!)

(※リサイクルではありませんが、番組内にてお話がありましたので、掲載。)

■様々なリサイクル■
≪蝋燭の流れ買い≫
江戸時代は、リサイクルを非常に上手に行っていた時代でした。
その中でも、紙は優秀なリサイクル用品です。
その他には、「蝋燭(ろうそく)の流れ買い」なんていうのもあります。
ろうそくに火をつけるとしたたり落ちる蝋(ろう)がありますね?
あれを竹のへらでこそぎ落として、買い取っていきます。
そしてまた溶かして、芯にして、売るわけです。
桃灯・蝋台等すべて蝋の流れ余る蝋を買い集める。風呂敷を負い秤を携ふ。人扮定めなし。
(「近世風俗志(一)」 喜田川守貞著、宇佐見秀機校注、岩波文庫、P269より)

≪灰買い≫
灰買い
近世風俗志(一)』より
(喜田川守貞著、宇佐見秀機校注、岩波文庫、P259、1996/5/16)

また竈(かまど)の灰を買う「灰買い」というのもあります。
優秀な肥料になったそうです。


≪すき髪買い≫
また女性が髪をとかした時に抜ける髪を買う「すき髪買い」というのもありました。
髪を集めてかもじにしたり、「入れ髪」という髪をふくらませるものにします。

■大事にされていた紙■
本のめくり方:左下を掴むので、そこだけが黒ずんでいます 紙は、非常に扱い方が丁寧なものでした。
それゆえ、扱い方もきっちり取り決めがされていたものでした。
たとえば教科書ですが
「必ず本をめくるときは、左下だけを触ってめくる」
ということを教えられるそうです。
そうすることで、左下以外の部分しか痛むことがありません。
(番組内で紹介された教科書は、左下部分だけが黒ずんでいただけでした)
貸し本屋さんの本についても同様でした。

こういった本が貴重ということもあったのでしょうが、非常に大事に使われました。
1つの教科書が100年も使用されたことがあるそうです。
和紙は非常に優秀な紙であるため、扱い方さえきちんとしていれば何百年でも劣化しないようです。

それほどまでに大事にされた「紙」ですが、庶民にとっても身近に買うことができるものでした。
紙には非常に多くの種類があったので、高いものから安いものまでいろいろあります。
庶民の間で用いられた紙としては、「梳き返し紙」(すきかえしがみ)です。
リサイクルされている紙であるため、庶民にも安く手に入れることができました。
「予が幼きころ、半紙の価十二文なり。紙のあしきは十文なり。それより十四文、十六文、二十文に至る。
(「江戸物価事典」、小野武雄著、展望社、P405より)

紙の最終形態のリサイクルとして、紙の芯にするようです。
本の表紙の裏に貼り付けることで、紙を堅いものにするわけです。
(いわゆる、ハードカバーですね)

町の中では、ごみなども滅多に落ちていなかったようです。
ごみもお金になるということで、率先して拾われていたようです。
なんと「紙屑買い」(かみくずがい)なる人々も存在します。
反故および古帳紙屑を買い、また兼ねて古衣服、古銅鉄。古器物をも兼ね買う。
(中略)紙屑・古銅鉄の類は、秤にかけて買うなり。

(「近世風俗志(一)」 喜田川守貞著、宇佐見秀機校注、岩波文庫、P258より)

ごみですらお金に代えてしまうわけですから、江戸の町が綺麗であると言われるのも納得できちゃいますね。



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