
栄泉画 「当世好物八契 けん酒」
『
図説 浮世絵入門』より
(稲垣進一編、河出書房新社、p94、1975)
これは辰巳芸者、いわゆる深川の芸者さんの艶姿
(あですがた)です。
非常に豪勢なお姿です。
絵をよ~く見てみると、珍しいものがあります。
銘が入っていることに気が付くと思います。

渓斎とあって判が押してありますね。
淫斎というのは
渓斎英泉(けいさいえいせん)、この当時の人気第一の歌麿を次ぐ美人絵の絵師なのです。
つまり、当代きっての浮世絵師に描かせた半襟を付けているという大変豪勢な訳です。
更に、この芸者さんがいかに全盛の芸者さんであったかが分かります。
半襟はピンからキリでして、本当にお手軽な物から高価な宝石クラスの高価な物までありました。
(この芸者さん、ブランドのサインを見せてこの半襟の凄さを見せびらかすために、わざとここまで襟元をさらけ出しているのでしょうね。(^^; )
それから、男性にねだる物としては、一番に格好の良い物でした。

「星や霜当世風俗 房楊枝」(歌川国貞)
『
図説 浮世絵に見る色と模様』
(近世文化研究会、河出書房新社、1995/7/25、P82
●こういった半襟とは江戸の庶民の物?●
江戸はやはり江戸の渋好みと言うことで、このような
小さい所のおしゃれにこだわります。
面積の大きな所は地味に押さえて、きゅっと小さな所に派手な物を持ってくる。
また倹約令が頻繁に出されていたので、小さな所で目立たない所でおしゃれをするということで、裏地(今回のお由美さんがお召しになっていた着物の裏地は八掛
(はっかけ)、表は鮫小紋
(さめこもん)と言って、細かい無地に見える小紋です。)は、一見、地味に見えますが、裏地は派手な物という着物です。
(左の女性が着ているのが鮫小紋の着物です)

「新板錦絵当世美人合 三光きどり」(歌川国貞)
『
ヴィジュアル百科江戸事情 第六巻服飾編』より
(長坂一雄発行、雄山閣、P134、1994/11/20)
●他にどのようなおしゃれグッツがあったの?●
江戸も時代が下って来るに従って、いろいろな着こなしが現れてきます。
まず帯が
太鼓結びというのが出てきます。
そうなりますと、
帯揚げと帯締めが必要となってきます。
それ以前の帯は、帯揚げ、帯締めがありませんでした。
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江戸後期に登場した太鼓結びは、帯揚げと帯締めを必要とした。
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左の女性は、「ぱんち留」という帯留めなんだそうです。
帯留めには専用の組紐。
紐端に留め具の金具をとりつけた帯留めがあります。
なお、この帯留め・帯締めは
「文化一四年の亀戸天満宮の太鼓橋再建祝いに、深川芸者が結んだ太鼓結びが反響を呼んで、その後普及した」
のだそうです。
着物を締める為の帯を更に締める帯締めとは・・・女性の着物はおしゃれが進むに従って、どんどん複雑になっていくみたいですね、すごい。(^^