
栄泉画 「当世好物八契 人形」
『
図説 浮世絵に見る江戸の一日』より
(佐藤要人・高橋雅夫監修、藤原千恵子編、
河出書房新社、p32、1996)
今回のお芝居の主役の「お景の簪」ですが、これは逸品物でした。
これは非常に凝った物で、先の部分に人が動くことによって鶴の細工物が羽ばたくように見えるよう取り付けてあります。
飾り職人は、銀や真鍮、金物を使い、煙草入れの金具や鎖物など、簪の他にもいろいろ作りました。
有名な職人にもなると、ブランド物として銘が入るようになります。
お景の簪は銀製でした。
そして、お詢さんがつけている簪は
びらびら簪と言います。
若い娘さんがする物です。
こういった簪・笄・櫛
(くし)、この三つが女性の髪の重要な三点セットなのです。

歌麿画「高名美人六家撰 辰巳路考」
『
浮世絵大系 5 歌麿』より
(後藤茂樹編、集英社、NO55,S50)
ここにあるのが、
耳掻き簪といいまして、先の方に耳掻きがついています。
当時、髪を結い上げた後、頭皮が痒いときに指が入らないので、この簪でかいて、ついでに耳掃除もできるという(^^; 事で大ヒット商品でした。
この簪で持って、膝枕をした殿方のをこちょこちょという事をしたのでしょうね~。(^^;
高橋宗恒(たかはしむねつね)という風流人が、簪と耳掻きをセットにしてくっつけたらもっと売れるのでは?というアイデアを出したとの一説があります。
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高橋宗恒、又は子の宗直を耳掻き簪の考案者とする説がある。
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前差しの簪に蔦の紋がついております。
これは彼女の家紋であろうとの事です。
また、それらの簪すべてがべっこう製になっております。
非常に売れっ子である全盛の芸者さんであるというのが伺い知れますね。
年々、髪型も大型化、複雑化してきて髪飾りも派手になってきます。
現在、手元に資料がありません。
見つかり次第、掲載いたします。
英泉画 「今様美人拾二景 深川すさき弁才天 おてんばそう」
これは、深川あたりの評判の美少女(今で言うと、中学生くらいだとかっ!!驚きです。)です。
非常に豪勢な髪飾りです。
ここにちらりと見えるのが笄です。
両側に
花の形をした銀細工のこうがいを差しています。
このこうがいは髷を結い上げてから差し込むものになっています。
前には
びらびら簪を二つも差しています。
こちらは銀細工の眠り猫がちょこんと作られています。
そして、もう一つのは蝶々の銀細工です。
こんな年齢でこんなに豪勢だということは、いかに可愛がられていたお嬢さんかということが伺い知れます。
しかも、
笹色紅(ささいろべに)という
玉虫色に光る最高級の紅をつけています。
つまり、もうお化粧しているという事ですよっ!!(゚o゚)ゲッ!!
すごいお嬢さんですね~。(^-^;

(拡大図)笹色紅ですよ~。
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笹色紅(ささいろべに)
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紅を重ねたり墨の上に塗ることで、青光りさせる化粧法
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上に掲載した「当世好物八契 けん酒」のモデルの方が笹色紅をつかっていらしたので、参考に掲載しておきます。
そしてまた時代が下ります。
現在、手元に資料がありません。
見つかり次第、掲載いたします。
国貞画「当世美人合 おいらん」
これは吉原の全盛の花魁です。
か・な・り・大振りですねぇ~。(゚o゚)
相当な重さであったと思われます。
寝る前にちゃんと全部はずして、ぬり箱にしまうのですが、外した時はスゥ~っとするのだそうです。
すべて
鼈甲(べっこう)で、首から上が家一軒と言われておりました。
そのくらいの財産価値があったのでしょう。
これだけ大振りな物になってしまうと、耳掻きの機能ははたせませんね。(^^;
江戸の中期以降に髪飾りがたくさん作られたのですが、それ以前は
黒髪だけを自慢にするという時代が長く続きました。
平安時代の絵巻物などですと、身の丈ほどの長い髪に髪飾りなど一切つけていない物ばかり見られます。
●おまけ●

武之介画 「耳掃除 ちょっと失敗?歌代さん」
耳掻き簪を用いて耳掃除に初めて挑戦した歌代さん!
膝枕をしてくれるというので、喜び勇んでの先生でございましたが・・・
数十秒後・・・先生の絶叫が道場内に響きわたりました。(-o-)
相当痛かったらしいね、先生は。(^^;
涙まで浮かべてるし・・・。