
「卯の花月」(国貞(三代・豊国))
『
図説 浮世絵に見る江戸の歳時記』より
(佐藤要人監修、藤原千恵子編、河出書房新社、1997/11/10、P46-47)
初がつおを裁いているシーンです。
これは、長屋中で・・・つまりみんなで買った1本のかつおです。
おかみさんがお皿を持ってきて、各自切り分けてもらうわけです。
熱狂したのは
江戸市民だけで、
上方では見向きもされませんでした。
将軍様があがられる魚ということで、お膝元の意地のようなものだったのでしょう。
年に一度のお祭りみたいなものです。
初がつおの食べ方については、「
江戸風俗往来」に次のように記載されておりました。
新鮮なる鰹を厚切のさしみに作り、本場の山葵に本場の醤油を以て、江戸っ子の腹を肥やしける。
(「江戸府内絵本風俗往来」 菊地貫一郎著、青蛙房、P59より)
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これを読むに、現代のような刺身に山葵醤油で食べていたようです。
下魚と称され食べ方すらも現代と違っていたマグロとは、食べ方も扱い方も雲泥の差なんですね~。
初がつおを食べたら、長者番付の発表のようなもので、半年間ぐらいはスターになれるそうです。(^-^)
その気になるお値段ですが・・・
二、三十年前は、初めて来る松魚(鰹)一尾価金二、三両に至る。
(中略)近年かくのごとく昌んなること、さらにこれなし。価一分二朱あるいは二分ばかりなり。
(「近世風俗史(一)」喜田川守貞著、岩波文庫、P248より)
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「(天明8年(1788))初鰹の値段については、鰹の初値が二貫五百。」
「(文化9年(1812))三月二十五日初入荷、早舟で十七本、魚河岸に入る。
うち、六本が将軍家へ。
三本が料亭八百善へ、値二両一分。
残りが一般売り。」
(「江戸物価事典」小野武雄著、展望社、P334より)
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とあり、時代によってまちまちですが、お芝居の中にもあった通り、
2両~3両程度だったようです。
まぁ、「程度」というレベルで表せる値段ではないのですが。(^^;
わかりやすく現代の金額に換算してみると、
約24万円~36万円っ!!!!!!!!!!
(注:掛け蕎麦18文・・・360円として計算)
(注:1両=6000文で計算)
(注:時代や例えとして計算するものによって、現代換算の値は変わります)
これが、秋のモノとなりますと、値段がぐっと下がり・・
「初がつおは高価なりしが、秋の古背(旬外)に至りては、肥大なるも値二百孔(二百文)に過ぎず。」
(「江戸物価事典」小野武雄著、展望社、P334より)
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となってしまい、1/10どころの話じゃなくなります。
こういったブームによって大変もてはやされた初がつおですが、時代が下がっていくに従って、沈静化していったそうです。
江戸後期~幕末などは、他の物価がどんどん上がっていきました。
それゆえ、初がつおにまで目をやる余裕が無くなっていたのかもしれませんね。