06にて紹介しました「石榴口」を屈んで入ると、1、2歩で長方形の浴槽に達します。
この浴槽ですが
・湯気が充満していて息苦しい
・石榴口の下3尺程度の所からしか明かりが入ってこない
・かなり薄暗いため、声掛けしないと人にぶつかることもしばしば
・中に入っている人は「咳払い」などをして人がいることを知らせることもある
・暗闇に目が慣れてくると、わずかに見える程度であった
という、現代の銭湯から想像もできないような「薄暗い空間」だったようです。
そんな訳ですから、
「浴槽内で殺人事件が起こって死体が浮いていても気付かなかった」
「幼児の汚物が浮いている」
なんていう事もあったとか。
何とも凄い話ですね。
そういう暗い場所ですから、お互いがぶつからないように声掛けをして、浴槽内には入るのがマナーです。
そんな声掛け・・・挨拶にも様々な挨拶がありました。
「ハイ子供でござい子供でござい。」
「ハイ出ますもの子ども子ども」
・06,07で父親が使っていた言葉です。
・子供が居るいる場合などは、いつも以上に気をつかっていたのでしょうね。
「同行でござい」
・03で●蔵、▲助が使っていた言葉です。
・同行は、水垢離を行う人たちが良く言う台詞です。
「ご免よ」
・03で豚七が使っていた言葉です。
・最も一般的な挨拶だったと思われます。
他にもこんな挨拶があります。
「田舎者でございます」
・自分を「田舎者」と表現する事で、遠慮がちな思いが含まれていることがわかりますね。
・田舎者だから勝手が分からず粗相をするかもしれませんがご免なさいという意味です。
「冷物でございます」
・自分の体が冷たいから「冷たい物」と表現したのでしょう。
「馬じゃ馬じゃ」
・馬じゃは、江戸市中にて人混みをかき分けていく際に使った言葉です。
でも「馬」と表現すると、男性の場合は都合が悪い場合もあったようで
「馬じゃ馬じゃといふ人、思ひの他立派にあらず」
なんて言われることもあります(笑)
「枝がさわります」
・自分の手足を「枝」と表現します。
・「手足が触ってもご免なさい」という事になります。
といった挨拶もあったとか。
他にも優れた挨拶(?)があったと思いますが、浮世風呂を読み進めていけば、いろんな挨拶が出てくることでしょう。
そんな所にも注目してみると、面白いかもしれませんね。