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●浮世風呂 武之介意訳7 親子の心温まる銭湯風景●

■その7■
■意訳■
父「お兄ちゃんも湯をかけな。ほ~れ温かいぞ~?」
徳「金兵衛さん、この湯は子供にはちょっと熱いんじゃ?」
江戸の銭湯の湯はとにかく熱かったそうです。
なんせ「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えながら入るくらいですからね(笑)
金(父)「そうですな。徳蔵さんは昨日何処へ?ずいぶんと御機嫌じゃあありませんか。」
徳「王子へ行ってきたよ」
王子稲荷??
金「あれれ?もしや海老屋か扇屋です?」
徳「それだけなら良かったんだけど、吉原にもちょいと」
金「おや山口巴屋?ヘヘヘ、遊びの最後はそうなるもんですって!」
ただの遊びじゃ済まなかったようです(^^;
徳「熱いならちょっと水をうめようか。湯嫌いになったら大変だ」
徳蔵さんが羽目板をトントンを叩くと
「トントン」
と湯屋の下男が応答を返します。
徳「ほ~れ、ぬるくなったぞ~」
金「すいません、ありがとうございます。ほら入るぞ~!」
これで子供達も安心して入れるね、徳蔵さんナイス!( ^▽^)
原文



兄「お父さん、まだ熱い~!」(つД`)
子供にはこの熱い風呂はきつかったようですね。(^^;
金「おじさんが折角うめてくれたんだぞ?熱くない熱くない。ほれ、鶴を見ろ?鶴は強い子だ」
徳「端までぬるくなってきたから、もういいや」
トントンとまた合図を出して、水うめを止めてもらいます。
兄「見てよ!ボクだって強いよ!」ヽ(`Д´)ノ
金「おお強い強い。ほ~ら温まるんだぞ~」
お兄ちゃんとしての威厳がありますから、負けるわけにはいきませんね。
兄「湯にちゃんとつかると、金魚や緋鯉が出るんだよね?!」
金「そうともそうとも。でも泣くと河童が出るんだぞぉ~?おお恐い恐い。鶴はお利口さんだから泣かないな。」
兄「オイラも泣かないよ!」(゚Д゚)
金「そうだな。ほれ、垢をちゃんととらないとな」
と耳垢掃除をするお父さん。
金「おや?お腹に灸の後があるな?誰がやったんだ?」
妹「お母さん」( ^▽^)
原文


金「お母さんか?可愛い坊に灸をするなんて・・・いけないお母さんだ。後で叱らないとなぁ~」
妹「お母さん叱る~」( ^▽^)
金「おうおう。お母さんを叱ってやるぞ」
兄「お父さん、もう出ようよう~」(つД`)
お兄ちゃん、ギブアップか?
金「もっと温まんなきゃ駄目だぞ」
兄「苦しいよ~」
金「こらおとなしくしなさい。鶴はおとなしいぞ?ほれ、兄さんも鶴も歌を歌おう!」
銭湯の中ではいろんな歌が飛び交うと聞きました。
今回は兄妹による歌謡ショーがきけるみたい。(^^
原文



兄「お~つき~さま~、いくつ~、十三七つ~♪」
歌謡ショーの始まりだ。
兄「まだ若い年だけど~♪」
金「あの子をうんで♪」
兄「この子をうんで♪ほれ、鶴も歌おう!」
お父さんも合いの手を入れます。
妹「お万に抱かした~♪」
金「お万に抱かしてどうした?」
兄「油買いに、お茶を買いに~♪」
金「おう上手いぞ!」ヽ(゚∀゚)ノ
お父さんベタ褒め(^^
兄「油屋で~♪」
妹「氷が張ってて~♪」
お、兄妹のデュエットだね。
金「氷が張ってて~?」
兄「すべって転んだ~♪」( ^▽^)
金「油一升こ~ぼした~♪次郎さんの犬と~♪」
兄「あーー!!お父さん間違えた!!太郎さんだよ!!」( ^▽^)
金「ありゃりゃ。みんな嘗めて~♪」
妹「嘗めちゃった♪」( ^▽^)
兄「その犬さんが~♪」
コボした油は、全部犬になめられてしまいました。
お万さん大ピンチ!!
それでそれで??
妹「太鼓があって♪」
兄「あっち向いてドドンドン♪」
金「こっちもドドンドン♪」
兄「そうじゃないよ!こっちへどどどん♪だよ」
金「ありゃそうなのか~。」
お父さんも大変です。(^^
原文



金「ほれ、そろそろ上がろうか。はい子供が出ます~、ご免なさい~。」
入るときと同じように、出るときもやはり合図するのが銭湯でのマナーなんですね。
金「お母さんが御褒美を持って待ってるぞ!」
子供のおやつの定番といえば、お芋・お餅だよね。
いつの時代も、子供はおやつに弱いです。(^^
金「お初が新しい浴衣を持ってきたから、着るんだぞ」
お初さんという下女がいるということは、結構良いところの親子??
妹「お初~、べべ~」( ^▽^)
金「お~いお初、湯から出すから後頼む~」
お父さん、ご苦労様でした。
子供からは大変好かれている、優しいお父さんのようですね。
原文




■石榴口から入った浴槽内の情景と挨拶■
06にて紹介しました「石榴口」を屈んで入ると、1、2歩で長方形の浴槽に達します。
この浴槽ですが
・湯気が充満していて息苦しい
・石榴口の下3尺程度の所からしか明かりが入ってこない
・かなり薄暗いため、声掛けしないと人にぶつかることもしばしば
・中に入っている人は「咳払い」などをして人がいることを知らせることもある
・暗闇に目が慣れてくると、わずかに見える程度であった
という、現代の銭湯から想像もできないような「薄暗い空間」だったようです。
そんな訳ですから、
「浴槽内で殺人事件が起こって死体が浮いていても気付かなかった」
「幼児の汚物が浮いている」
なんていう事もあったとか。
何とも凄い話ですね。

そういう暗い場所ですから、お互いがぶつからないように声掛けをして、浴槽内には入るのがマナーです。
そんな声掛け・・・挨拶にも様々な挨拶がありました。
「ハイ子供でござい子供でござい。」
「ハイ出ますもの子ども子ども」
・06,07で父親が使っていた言葉です。
・子供が居るいる場合などは、いつも以上に気をつかっていたのでしょうね。
「同行でござい」
・03で●蔵、▲助が使っていた言葉です。
・同行は、水垢離を行う人たちが良く言う台詞です。
「ご免よ」
・03で豚七が使っていた言葉です。
・最も一般的な挨拶だったと思われます。

他にもこんな挨拶があります。
「田舎者でございます」
・自分を「田舎者」と表現する事で、遠慮がちな思いが含まれていることがわかりますね。
・田舎者だから勝手が分からず粗相をするかもしれませんがご免なさいという意味です。
「冷物でございます」
・自分の体が冷たいから「冷たい物」と表現したのでしょう。
「馬じゃ馬じゃ」
・馬じゃは、江戸市中にて人混みをかき分けていく際に使った言葉です。
でも「馬」と表現すると、男性の場合は都合が悪い場合もあったようで
「馬じゃ馬じゃといふ人、思ひの他立派にあらず」
なんて言われることもあります(笑)
「枝がさわります」
・自分の手足を「枝」と表現します。
・「手足が触ってもご免なさい」という事になります。
といった挨拶もあったとか。

他にも優れた挨拶(?)があったと思いますが、浮世風呂を読み進めていけば、いろんな挨拶が出てくることでしょう。
そんな所にも注目してみると、面白いかもしれませんね。



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■参考文献■

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