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●浮世風呂 武之介意訳6 優しいお父さん●

■その6■
■意訳■
小さな女の子を背負い、男の子の手を引いてやってきたるは40歳くらいのお父さん。
おもちゃの手桶と亀を持たせながら
「ほ~れほ~れお風呂はどこだ~?お兄ちゃんは転ぶんじゃねえぞ。おぅおぅ、お風呂はここだ~。ほれ犬の糞だ!これ!お兄ちゃんは犬の糞を踏むんじゃねえぞ~。鶴はおんぶだから大丈夫だぞ~」
と、二人の子供をあやしながら、お父さんは大変です。(^^
原文



妹「私おんぶ~」
父「鶴はおんぶ。お兄ちゃんは歩きだな。ほ~れ降りな。これこれ待て待て!転ぶぞ!さぁお兄ちゃんは一人で脱ぐんだぞ~?鶴は父ちゃんが脱がしてやるからな。」
妹ちゃんの名前はお鶴ちゃんと言うんだそうな。
可愛らしい名前ですね。(^o^)
原文


兄「おいらは脱いだよ!鶴は遅いぞ遅いぞ!こちょこちょ」
父「これふざけているんじゃね!」
側の人「おやおや。お兄ちゃんにはついとるが、鶴ちゃんにはついてねぇなぁ~」(笑)
父「鶴は落としたんですよ、福助さん。へへへ(笑)」
落としたって(笑)、上手いことを言うなぁ。
町内の銭湯だから、知り合いばかりという事なんだね。
父「ここんところは良い日和が続きますなぁ」
福助「まったくだ。これじゃあ豊年だろうね」
父「ですな。それ入るぞぉ~!ほれ、兄ちゃんは転ぶなよ。鶴ちゃんはおもちゃを落とすんじゃねえぞ。あ~よいしょっと。」
二人のお子さんは銭湯に来てはしゃいでいるようですね。
お子さんの面倒をよくみるお父さんです。
父「福助さんよぉ、こんな調子で動けない状態なんでさ。子供が出来るとどうしようもねぇなぁ」
原文



源「いいことじゃないか」
父「こんなもんさ。ほれ行くんじゃね!頭気をつけな!」
と柘榴口を潜って湯船の方へ。
湯船と洗い場を仕切る柘榴口は、湯気が逃げないよう、入り口が下になっています。
だから、潜らないといけません。
暗いから、よく見ないと頭ぶつけるよ~?
父「はい子供が入ります~、ごめんなさいよ~!」
子供が入るよと中の人に知らせるのも、銭湯でのマナー。
湯船の中は暗いから、こうやって、お互いちょっと気を付けないとね。
父「ほれほれ。兄ちゃんは湯を掛けて。そうだそうだいいぞ~。温かくていいなぁ」
無事、湯船にどっぼ~ん。( ^▽^)
原文




■柘榴口(ざくろぐち)とは何?■
銭湯の内部
浮世風呂』より
(神保五弥校注、角川書店、S43/2/20、P8-9)

上に掲載したのは、「浮世風呂」の挿絵です。
左上に黒く縁取りされた板のようなものから、足が見えている部分がありますよね?
これが「柘榴口」です。
この柘榴口の先に浴槽(よくそう)があります。
柘榴口は扉の様に開閉することが出来ず、人は常にその下を潜らなければなりません

柘榴口という名前の由来は、『醒睡笑(せいすいしょう)』によると
「屈(かが)み入るといふを鏡鋳(い)るといふにとりなしたるなり。昔は鏡を磨ぐに、石榴(ざくろ)の実のすを用ひたるゆえなり」
とあります。
つまり
「屈んで入る→かがみいる→鏡を鋳る→鏡を磨くのに使ったのは石榴の実」
という繋がりからという説があります。
この石榴口があることで、浴槽内の湯気が外に逃がさずにすみます。
よって浴槽内の温度を一定に保つことができるのです。

銭湯の中は湯気を逃がさないようにするため、窓がありません
よって薄暗い中を歩くことになるため、慣れない人は危険ですね。
石榴口に至っては、潜らないといけないため、上のお父さんも
「頭ぶつけるなよ~」
と子供達に注意を呼びかけているのでした。(^o~)

現代人がこれをみたら
「なんだこりゃあああああ!!!」ヽ(`Д´)ノ
って驚き桃の木山椒の木になるでしょうね。



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■参考文献■

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